【穴が】阿部高和が雛見沢村に引越して来たようです【危ない】


7スレ目

70 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 00:39:32.13 ID:VfmpJSzJO
「アンタもオヤシロ様について探ってるのかい?」


今度は阿部が大石ににじり寄った。


「いや、アナタのその顔は無茶をしでかすような顔だ。実際無茶な事をすると分かった以上…是非とも私に協力させて下さい。」


大石が阿部の方を向きながらニコリと笑った。


「何が待ってるのかわからないんだぜ?アンタ死ぬかもしれないぜ?」


「アナタと一緒に死ねるなら本望ですよ…それに私にはこれがあります。」


そういうと大石は懐からガレージの薄暗い明かりの中でもテカテカと黒光りする拳銃を取り出した。


「そうか……後悔はしないな?」


阿部はバールを肩に担いだ。
どうやら異論はないようだ。


阿部と大石は握手をした。ガッチリと。

346 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 13:25:54.11 ID:VfmpJSzJO
「なあ…大石さん?」


「ん?何ですか?阿部さん」


大石の車の中で阿部がうつむいたままたずねた。


「…他に行方不明になってる奴ってのは一体…」


「先程申し上げた通り…古手梨花さん…そして北条沙都子さん…富竹ジロウさん……」


阿部は後部座席でうつむいたまま告げた。


「実は俺が富竹ジロウを殺したんだ…。」


「……そうですか。分かってましたよ阿部さん。」


大石が優しい口調で言った。


「私は…あなたの事を逮捕なんて…そんな事…出来やしません。」

355 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 13:38:20.62 ID:VfmpJSzJO
大石が照れ臭そうに頭を掻きむしった。


「私は…出来る限りあなたのサポートをする。話はそれからですよ。」


二人の間に沈黙が流れた。…まるで、うぶな生娘を前にした、純情な少年の初恋のような…はにかんだような沈黙…。


「ささ…着きましたよ阿部さん。ここが…園崎さんの家です。」


大石の車がこの寒村に場違いな程の、かなりの豪邸の前で止まる。

363 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 13:51:38.91 ID:VfmpJSzJO
「これが…魅音の家か…すごく…大きいです。」


「ええ…彼女の家はこの村でもかなりの名家でしてね…。大きいんですよ…かなり。」


大石が阿部の股間を凝視しながら呟いた。


「…帰ってきたらだ!」


阿部がバールで大石の頭を軽く小突くふりをした。

377 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 14:52:38.12 ID:VfmpJSzJO
同時刻……地下拷問室。


沙都子は今にも失神しそうになっていた。


無理もない。針で爪を剥がされた挙げ句に、ドリルで肩に穴を開けられたのだ。

それもまだ胸も満足に膨らんでいない、思春期も迎えていない華奢な体付きの少女に対してである。


沙都子は目だけを虚ろに動かして、魅音を見つめて、猿轡をモゴモゴと動かした。


「なあに…沙都子…どうしたの?」


魅音が沙都子に顔を近付けた。口づけしそうな程に…。


魅音はニヤニヤしながら沙都子の消え入りそうな声に耳を澄ませた。

そして沙都子の頭をガシッと掴み、顔前で怒鳴る。


「駄目だよ、何言ってんの!トイレになんか連れて行けるはずないでしょ?!」

387 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 15:03:33.88 ID:VfmpJSzJO
沙都子が太ももをすり合わせてモジモジする。


どうやら何かを我慢しているようだった。


でも何を…?


「圭ちゃん…沙都子がオシッコしたいんだって。」


魅音が沙都子の頭を掴みながら圭一の方を向いて言った。

沙都子は涙で濡れた目をさらに涙ぐませ、頬を真っ赤にさせた。

417 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 15:48:43.66 ID:VfmpJSzJO
魅音が沙都子の下腹部をさすり上げた。


沙都子が反応し、体をビクッとすくみあげる。


「オシッコ漏れそうなんだ。…今までよく我慢したね。」


そういうと魅音はモジモジとこすり合わせる沙都子の太ももの間に手を滑らせた。


沙都子の真っ赤になった顔が羞恥の表情に歪む。
猿轡越しに切実なうめき声が響く。


「こことかいじったら出ちゃう?」


魅音の手が沙都子の股を擦り上げる。

沙都子のうめき声がより悲痛な物になる。

425 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 15:57:10.83 ID:VfmpJSzJO
沙都子はそれでも耐えた。


圭一には放尿シーンは見せまいと努めてはいるが、尿意は既に限界に達していた。


魅音が更に強く、早く沙都子の性器を手でこする。


手が上下するごとに沙都子の体が車椅子の上でくねり、襲い来る尿意に耐えようとしている。


魅音は片方の手で股間をこすり上げ、今度はもう片方の手で下腹部を圧迫し、膀胱から無理矢理尿を出そうとした。

沙都子のうめき声が更に大きくなった。

431 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 16:01:02.66 ID:VfmpJSzJO
「沙都子もなかなかしぶといね。じゃあ…これならどう?」


下腹部を圧迫していた魅音の手が離れて、今度は肩に開けられた穴に伸びる。


沙都子は車椅子の手すりを握り締め、かすかに痙攣しながら耐えようとしている。


そして魅音の指が、性器でも愛撫するかのように肩に開けられた穴に滑りこんだ。


激痛が走る。

439 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 16:09:43.39 ID:VfmpJSzJO
沙都子のうめき声が悲鳴にかわり、体がビクンと大きく痙攣した。

沙都子がはいていたスパッツの色が変わった。
沙都子はうつむいたまま顔をあげなかった。


「あっ!…おじさんがまだ擦ってるのに何でだしちゃうの?ついちゃったよ?ねぇ、沙都子。」


魅音が沙都子の襟を掴み車椅子が浮かんばかりに思い切り手前に引っ張り上げる。


沙都子は声を出して泣いていた。

457 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 16:57:38.73 ID:VfmpJSzJO
「沙都子のオシッコ手についちゃった…圭ちゃん舐めてみる?ホラ、沙都子のだよ?」


そういうと魅音は圭一の顔に沙都子の尿で濡れた手を近付けていく。


沙都子の尿のいやらしい匂いが圭一の鼻を刺激し、理性を掻き乱す。


沙都子がその様子を口をワナワナと震わせ、泣きながら見ていた。見つめていた。


「じゃあ…そろそろ続きを始めようか…。」


魅音は、そういうと沙都子の猿轡を外して、部屋の奥に姿を消した。


沙都子は鳴咽をこらえて、泣いていた。
白のブラウスが肩を中心に赤々しく変色して、痛々しい姿を晒していた。

464 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 17:09:13.70 ID:VfmpJSzJO
「にーにー…助けてよ…にーにー…」


沙都子がおまじないでも唱えるかのように、繰り返し、繰り返し呟いた。


圭一には目を瞑る事しか出来なかった。


どこからか…何かの料理のような匂いがする…何の匂いだ…。


醤油だろうか…。


魅音が部屋の暗がりから戻って来た。手には金属製の先が尖った筒と……湯気がもうもうと上がる…何かが入った鍋…。


「沙都子…さっきまでのは拷問を始める準備だよ……そして、これが本番…。」

483 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 17:24:19.57 ID:VfmpJSzJO
魅音は沙都子の肩の穴を無理矢理広げると金属製の筒を押し込んだ。


沙都子の猿轡が解けた口から凄まじい悲鳴が上がる。


「沙都子…これ、何だか分かる?」


魅音が湯気が上がる鍋を沙都子の目の前に持って来て、わざと中身が見える様にした。


煮えたぎった黒い液体がなみなみと入っている。一体何をするつもりなんだ。


沙都子は何をされるのか分からない恐怖から唇を震わせ、涙をながして脅えていた。


「これはね…沸騰したお醤油だよ。篠揉みって言ってね…この家に昔から伝わる拷問方法なんだ。」


506 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 17:33:22.67 ID:VfmpJSzJO
「今からその筒にこれを流し込むよ…」


魅音はそういうと筒に鍋を近付けた。


沙都子の暴れようといったらなかった。


「止めて!止めて!」


沙都子は必死になって抵抗した。しかし、無情にももうもうと湯気が立つ鍋から醤油が筒へと注がれていく。


「ヒグッ…ンンンッ…」


沙都子の体が一瞬こわばり、そして、ぐったりとなった。


失神したようだ。

543 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 17:52:15.10 ID:VfmpJSzJO
沙都子の口から一筋の血が流れ出す。どうやら苦痛のあまり舌を噛んでしまったようだ。


沙都子はぐったりしたまま動かなかった。


もしかしたら…この地獄のような現実から逃避し、そのまま死んでしまったのかもしれない。

こんな筈ではなかった…こんな…こんな…。
阿部さんにさえちょっかいを出さなければこんな…。


「ちょっと沙都子!まだ終わってないんだよ!起きな!」


魅音が沙都子の頬を思い切り張った。


沙都子が虚ろな目を開けた。微かに胸が上下し、呼吸をするのもやっとの状態だった。

 

「も…止めて…許して…。」


「駄目だよ!」


再び筒の中に醤油が注ぎ込まれた。沙都子は再び絶叫した。

563 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 18:13:19.03 ID:VfmpJSzJO
沙都子の体が海老のようにのけぞり、そして動かなくなった。


肩で息をして、目にはほとんど生気がなかった。


「……負けない…絶対に…負けませんことよ…」


消え入りそうな…蚊の鳴くような声で沙都子が呟いた。

一瞬にして魅音の顔つきが般若のように変わる。


「何かいった?…いったよね?おじさん聞こえちゃった…。」


そういうと魅音は腰に挟んでいたナイフを手にとった。

577 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 18:32:59.20 ID:VfmpJSzJO
同時刻……園崎家庭園


どのくらい歩いたのだろうか…阿部と大石は広い庭園の真っ只中で途方にくれていた。


「阿部さん!井戸なんて本当にあるんですか?」


息をきらせながら大石がたずねた。
確かに彼の体型では、この広い庭園を歩き回るのは辛い事だろう。

「ああ…確かにあるはずだ。」


阿部は地面にバールをついて、寄りかかった。


足音が依然として阿部に憑いて回る。大石がいなかったら発狂していた事だろう。


「で…どうします?このまま諦めますか?」
「そうだなぁ……」

阿部がそう言いかけた時、どこからか少女の凄まじい絶叫が聞こえた。
この声は…沙都子…

「あっちだ!いそぎましょう!」

すぐさま大石が反応し、駆け出した。阿部も後を追う。

595 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 18:52:03.41 ID:VfmpJSzJO
しばらく庭園の中を走っていると、木立が生い茂る、微妙に分かりづらい所にあった井戸を見つけた。

どうやら絶叫はこの井戸の中から聞こえているようだ。


井戸には鉄製の梯子がついていた。


「いきましょうか…阿部さん。」


大石が先に…続いて阿部が中に入る。


降りるに連れて何か変な臭いが漂い始めた。

蛋白質が焦げた時の臭い、それにカビの臭い、醤油の臭い……そして血の臭い…。


絶叫が唐突に終わり、続けて誰かが争う様な声と音が聞こえて来た。


「阿部さん!急ぎましょう!」


大石が降りるピッチを上げた。

611 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 19:26:29.42 ID:VfmpJSzJO
井戸を降りると、岩肌が露出する洞窟のような所に出た。


さっきの嫌な臭いがさらに濃厚になっていく。


争う音がさらに激しくなる。


「阿部さん…気をつけて下さい…。」


大石が銃を構えながら薄暗い洞窟の中を歩いていく。


阿部は手にしたバールを握り締めた。

644 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 19:56:22.94 ID:VfmpJSzJO
同時刻………地下拷問室


魅音は沙都子の胸にナイフをつきつけた。彼女の肉に微妙に突き刺さり、血が滲む。


「そんな無駄口叩けるなんてね…。おじさん感心しちゃったよ…死にそうなくらい。」


魅音がナイフを持つ手に力を込めた。
沙都子の体にナイフの切っ先が少しめり込む。


沙都子は何とか肘置きに拘束された腕を解こうと、金切り声を上げて暴れた。


「圭ちゃん聞いた?……負けない…だって……負けない…負けない……もうとっくに負けてるのに…負け犬のくせに!」


魅音は更に力を込めた。ナイフがどんどん沙都子の胸に隠れていく。


沙都子の口から血が流れ出す。

658 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 20:04:10.10 ID:VfmpJSzJO
圭一は力一杯叫んだ!もういい!もう十分だ!

ここまで苦しめて、ここまで辱めて何になるんだ!

 

だが魅音の耳には届かなかった。鬼の様な形相で沙都子の胸にナイフを突き入れていく。


今度は圭一が椅子の上で暴れていた。縛られた手を、足をバタバタさせ、猿轡越しに絶叫し続ける…。


ふと気が付くと手を縛っていた縄が微妙に緩んでいた。


圭一は魅音に気付かれないように、少しずつ縄から手を解いていった。


沙都子の悲鳴が徐々に弱々しくなる…。
急がなければ…。

669 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 20:13:27.85 ID:VfmpJSzJO
「よかったね圭ちゃん…沙都子が終わったら次は梨花ちゃんだよ?」


魅音が笑っているのか、泣いているのか分からないような声を出して言った。


「その次が詩音で、最後が圭ちゃん!!」


沙都子の絶叫が、どんどん小さな物になり、遂には、消え入りそうな物になる。


圭一は手首の皮が剥けて血が滲む程力を込めた。


そしてとうとう紐がはずれた。

圭一はすぐに立ち上がると、魅音の頬を思い切り殴った。


キャッ、と短い悲鳴を上げて魅音が拷問室の汚い床に倒れた。

692 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 20:30:18.43 ID:VfmpJSzJO
圭一はすぐさま沙都子の紐を解いてやった。

「沙都子!大丈夫か?」

返事は無かった。

あんなに綺麗で可愛らしかった白いブラウスは痛々しい真紅のブラウスに変化し、沙都子の笑顔がかわいい無邪気な顔は涙と血と涎で汚れて、見るも無惨な姿を晒している。


「沙都子?沙都子?おい、沙都子?……頼むから返事をしてくれ…お願いだ。」


圭一が沙都子の手を取り、必死で語りかける。

だがやはり返事は無かった。

「そんな…そんな…何でこんな事に?」

「アンタのせいだよ!前原圭一!」

反応が一瞬遅れてしまった。
圭一が身構える前に、魅音が振り下ろしたナイフの柄が圭一の頭を直撃した。

意識を失う直前に圭一は聞いた…魅音の声を…。


「こうなったら…こうなったら…皆…皆殺してやる!アンタは一番最後だよ!前原圭一!」

719 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 20:47:06.21 ID:VfmpJSzJO
同時刻……独房


古手梨花はあまりの激痛に目を覚ました。


目を覚ました途端にジャラッと鎖の音がした。


どうやら天井から垂れた鎖に両手を拘束されて、吊されているらしかった。


何とか外そうと腕に力を込めた時に手の…それも指先に激痛が走った。


何事だろうと顔を痛みで歪めながら、手を見た。

ゾッとした。


指の全ての爪が綺麗に無くなっていた。
そして何より衝撃的だったのが…小指が無くなっていた事だった。


梨花は何時もの物静かな雰囲気からは想像もつかないような凄まじい悲鳴を上げた。

762 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 21:22:44.60 ID:VfmpJSzJO
「おはよう……梨花ちゃん…。」


檻の外から声がした。魅音の声だ。


「魅音……助けて…助けてなのです!!」


梨花は声を荒げた。


「誰かがボクの…爪と指を…。」


「おじさんだよ?」


「おじさんがやったんだよ?」


魅音が檻の死角から姿を現した。手にはナイフを持っている。


「これで梨花ちゃんの指を切ったんだよ。よく切れてるでしょ。」

767 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 21:31:47.02 ID:VfmpJSzJO
「……え?」


梨花は耳を疑った。まさか…まさか魅音が…。


チャラチャラと金属が触れ合う音がする。どうやら鍵で檻を開けているらしかった。


「ごめんね…梨花ちゃん…ごめんね…。」


不快なきしみをたてて、檻が開いた。

魅音がうつ向いたままフラフラと檻の中に入ってきた。


「でもね?…でもね?…梨花ちゃん…私は悪くないの…悪いのはね……阿部と前原圭一なんだよ!!ケケケケケ!」


突然魅音が狂ったように笑いだす…。

ナイフがブラブラと手の中を踊る。


「止めて魅音…ボク怖いです…。」


梨花が泣きそうな声を出した。

779 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 21:52:10.13 ID:VfmpJSzJO
「ごめんね…本当にごめんね…すぐに…すぐに終らせるから。」


魅音が再びうつ向いた…。
魅音の顔から滴がこぼれ落ちた…。一滴…一滴…。
魅音は泣いていた。


「みぃ…止めるのです!……」


梨花が鎖をジャラジャラ鳴らして何とか逃れようとした。


「ごめんね…もう遅いんだ…何もかも…だから。」


魅音がナイフを振り上げた。


「だから私が全部おわらせるの!!」

823 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 22:13:38.31 ID:VfmpJSzJO
「大石さん!しっかりして下さい!」


阿部が大石の手を引っ張って走る。大石はすっかり息が上がっていた。


「すいません…この歳のせいで、もう満足に走れないんですよ。タバコのせいかも…。」


「早くしないと!手遅れになりますよ!」


阿部がバールで洞窟の先をさす。思ったよりもかなり広い。


これは骨が折れる。

「あ…明かりが見えますね…。どうやら誰かがいるみたいですよ。」


洞窟の先に確かに明かりが見えた。誰かいるのだろうか。


阿部は大石の手を引っ張ってそこを目指した。

839 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 22:21:42.28 ID:VfmpJSzJO
明かりを目指して洞窟を進むと、少し開けた所に出た。


明かりはどうやらここから漏れている。


阿部はその開けた場所を改めて見回した。
そこは檻が並ぶ、とても異様な場所だった。


血の臭いがする。まるで刑務所か拷問室か…。


「……阿部さん。どうやら遅かったようです。」


独房の一つを覗きこんだ大石が、力の抜けた声で呟いた。

阿部も大石に続いても独房を覗きこんだ。


そこには鎖で吊された少女の死体がぶら下がっていた。鋭利な刃物で滅多突きにされたのだろう、服が血まみれだ。

その少女は紛れもない…古手梨花本人だった。

871 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 22:40:30.97 ID:VfmpJSzJO
「ンッ……ううん…」


隣の独房から声がした。


「阿部さん…誰かいるようです。」


大石が拳銃の撃鉄を上げた。


壁を背にして独房へとにじりよる。
緊張が走る。


阿部はバールを握り締めた。

大石が独房に拳銃を向けながら覗きこんだ。中に人影があった。しかし阿部の位置からはよく見えなかった。


「これは…どっちでしょうか…。園崎詩音…魅音…。」


阿部は目をこらして独房の中を見た。

女の子が鎖で吊されていた。


887 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 22:56:13.71 ID:VfmpJSzJO
「大丈夫ですか?…今出してあげますから。」

大石が無言で阿部のバールをひったくり、檻を無理矢理こじあけようと躍起になった。

「…ここどこ?」

女の子が呟く。それにしても魅音そっくりだ。本人か?

「独房だよ。君は閉じ込められてたんだ。名前は?」

「詩音…園崎詩音…。」

園崎は双子だったのか…!阿部は詩音と名乗った女の子をまじまじと見つめた。

これは誰が誰だか分からなくなる…何せクローンみたいに魅音そっくりなのだから。

「……阿部さん!ボーッとしてないで手伝って下さい!」

大石が苦しそうな声を上げた。

仕方ないので阿部は大石と二人でバールを檻の扉にあてがい、こじあけようと力を込めた。

しばらくして、扉の鍵が豪快な音を立てて構造ごと壊れた。
扉がゆっくりときしみながら開く。

「さあ…もう大丈夫だ。」
大石が檻の中に入り、女の子の鎖を外してやった。

「待って!止めて!そいつをはなさないで!そいつは魅音よ!」
どこからか声がした…。魅音によく似た声が…。

899 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 23:12:50.26 ID:VfmpJSzJO
今から少し前……地下拷問室。


……どこからか悲鳴が聞こえた。この声は梨花ちゃん……?


凄まじい悲鳴に圭一の意識は現実へと引き戻された。


圭一は魅音に殴られた頭を押さえながら起き上がった。


血がでてる。それに頭が凄く痛い…。


圭一は軽いめまいを感じながら。何とか立ち上がった。


車椅子には相変わらず沙都子が座っていた。もう決して…動かないし…笑いもしない……沙都子が…。


泣きそうになった。その場にうずくまって、泣き出したかった。赤ん坊のように…。

圭一は無言のまま、沙都子を車椅子から運びだし、テーブルの上に寝かせてやった。
そして最初に被せられてた白い布をかけてやる。

「沙都子…ごめんな……後で必ず迎えにくるから…それまで我慢しててくれ…な?」

圭一は物言わぬ沙都子の頭を撫でると、拷問室を後にした。

909 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 23:25:09.66 ID:VfmpJSzJO
しばらく進むと、濃厚な血の臭いが漂ってきた。


そして湿った音と、叫び声、悲鳴、そして金属と金属がこすれ合う音が響いてきた…。


一体何が起きているんだ?


圭一には皆目見当がつかなかった。


歩いていくと明かりが見えた。そして血の臭いがさらに濃くなっていく。


圭一は明かりがついている部屋を覗きこんだ。そこには檻がならんでいた。


そして一番奥の檻で人影が動く。


何をしているのだろうか。何かを振り上げては振り下ろしている。

「止めて!魅音!止めて!止めてあげて!」


その手前の檻がガチャガチャと動く。どうやら誰かが監禁されているようだ。

921 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 23:34:22.46 ID:VfmpJSzJO
荒々しい息遣いと、グチャッだのビチャッだの、そういった類の湿った音、そして非難がましい叫び声、激しく檻を揺らす音…。


「うるさい!うるさい!うるさーい!」


何かを振り上げては振り下ろすのを繰り返していた人影が作業を中断して金切り声を上げた。


その金切り声の主は明らかに魅音のものだった。


じゃあ手前の檻の声の主は…一体…。

932 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 23:44:56.73 ID:VfmpJSzJO
一番奥の檻から誰かが出てきた。


魅音だった。手には血まみれのナイフが握られていた。


「アンタさっきからうるさいのよ!そんなに殺されたいの?」


魅音が隣の独房に向けて怒鳴る。誰だろう。


目を凝らしてみた。
圭一はびっくりして声をあげそうになった。魅音が二人いた。

一人はナイフを握り締めた魅音…もう一人は檻に閉じ込められた魅音…。


「魅音……まさか…梨花ちゃんを…」

檻に閉じ込められた魅音が弱々しく呟く。

「ああ…その通りだよ。……次はアンタの番だ。」

そういうとナイフを握り締めた魅音が鍵の束を取り出して、檻を開けはじめた。

襲撃のチャンスだ!

圭一は足音を殺して魅音の背後に忍び寄った。

946 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/11(日) 23:57:45.53 ID:VfmpJSzJO
圭一は鍵を開けようと苦心している魅音に近づくと、背後から羽交い締めにした。


魅音はヤアッ、とびっくりしたような悲鳴を上げた。


羽交い締めのまま魅音の身柄を拘束しようとし、自由を奪おうと思った。


しかし甘かった。魅音は圭一の顔面に後頭部で頭突きをすると羽交い締めを解いた。


そして、ナイフを振り上げて、そのまま圭一に向かって振り下ろした。


圭一の喉スレスレ間一髪でそれを受け止める。
だが魅音は凄い力でそのまま圭一の喉にナイフを突きこもうと力を込めた。


何とか刃を離そうとしるが、徐々に刃が喉に近づいていく。

988 名前: ◆g4b7GjYsgg 投稿日: 2007/03/12(月) 00:18:15.36 ID:kRneU/f4O
「圭ちゃん……圭ちゃんは最後にしようと思ったけどもういいや。」


魅音が更に力を込める。
圭一が両手を使って離そうとするが、それでも魅音は止められ無かった。


ナイフの切っ先が喉に触れて、チクリとした感触を残す。


圭一は沙都子の最後を思い出した。こんな感じで少しずつ…ゆっくりと沙都子の体に刃が入っていった。


「圭ちゃん血が出てきたよ!もうすぐ死ねるね。」


魅音が笑いながら言った。

喉が苦しくなっていく。

襟が血でヌメヌメしてきたのが分かった。


まずい…このままじゃ…死…。

 

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